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成年後見制度とは?不動産売却で必要になる場合とは

コラム

牧原 聡美

筆者 牧原 聡美

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何かご心配事やご不安なことがありましたらいつでもお気軽にご相談ください。

「成年後見制度」という言葉を聞いたことはありますか?


これは、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人を法律的に支える制度です。

家庭裁判所が選んだ「後見人」が、本人の代わりに財産の管理や契約を行います。


たとえば、こんなケースを想像してみてください。


──80代のお母さまが一人で暮らしている実家を売却したいけれど・・・──

認知症が進み、売買契約の内容を理解して判断することが難しくなってしまった。


そんなとき、子どもが代わりに売却手続きをしようとしても、

不動産の売買には「本人の意思確認」が必要なため、手続きが進められないのです。


このような場合に利用されるのが「成年後見制度」です。



成年後見制度の基本


成年後見制度には、大きく分けて2つの種類があります。


法定後見制度
これは、すでに本人の判断能力が低下している場合に、家庭裁判所が後見人を選任する仕組みです。

本人の状態に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分かれます。


・「後見」は判断能力がほとんどない場合
・「保佐」は著しく不十分な場合
・「補助」は一部に支援が必要な場合

と、支援の程度に応じた分類です。どの類型になるかは、医師の診断書などをもとに判断されます。


任意後見制度
こちらは、将来の判断能力の低下に備え、本人が元気なうちに信頼できる人と「任意後見契約」を結んでおくものです。

契約は公正証書で行い、実際に判断能力が低下した時点で、後見が開始されます。



不動産売却で成年後見制度が必要になる理由


不動産の売買は数百万円から数千万円にのぼる高額な契約です。

そのため、売主が契約内容を正しく理解し、自分の意思で合意していることが法律上求められます。


以下のようなケースでは制度の利用が必要になることがあります。


・実家を売却したいが、名義人である親が認知症などで判断できない
・介護施設への入居費用を用意するために家を売りたいが、本人の署名が
できない

・相続のことを考えて整理したいが、本人が契約の内容を理解できない


成年後見制度を使って「後見人」が選ばれると、その人が代わりに売却の手続きを進めることができます。

ただし、「本人の生活のために必要な売却かどうか」は、家庭裁判所が確認・判断します。



後見人ができること・できないこと


後見人は本人に代わってさまざまな法律行為を行えます。

不動産の売却、預貯金の管理、介護施設との契約、公共料金の支払いなど、生活に関わる多くの事務を担います。


ただし、「本人の利益を守ること」が最優先とされており、後見人が自由に財産を処分することはできません。

特に不動産の売却は、家庭裁判所の許可が必要となります。



手続きの流れと期間


後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てが必要です。

必要な書類は、診断書、戸籍謄本、財産目録、収支予定表など多岐にわたります。

申立て後は調査官による面談や書類審査が行われ、平均して12ヶ月で後見開始の審判が下ります。



制度を使うメリットと注意点


最大のメリットは、本人の意思が尊重され、財産が法的に守られることです。

家族としても、正式な手続きを経て不動産を売却したり、施設契約を結んだりできるようになります。


一方、制度を一度開始すると、原則として本人が亡くなるまで継続されます。

後見人には年1回の報告義務があり、帳簿の管理や裁判所への提出も求められます。

また、専門職後見人(弁護士や司法書士など)が選任された場合には、月額25万円程度の報酬がかかることもあります。



成年後見制度は誰のためのもの?


成年後見制度は、ご本人の生活や権利を守るために設けられた制度です。

後見人になったからといって自由に財産を動かせるわけではなく、「本人にとって本当に必要かどうか」が常に判断の基準となります。


たとえば不動産を売却する場合でも、「家族が経済的に助かるから」ではなく、

「本人が安心して施設で暮らすため」「医療や介護の費用に充てるため」といった目的であることが求められます。


制度を正しく理解し、ご本人の将来と尊厳を守るために、後見制度を前向きに活用していただけたらと思います。



制度利用前に考えておくべきこと


成年後見制度を利用すると、後見人には大きな責任が生じます。

日常の支出管理、各種契約の更新、定期的な報告書の作成など、日々の生活に密着した対応が必要になります。


特に不動産売却のように大きな取引では、家庭裁判所への許可申請や売却後の資金管理といった、手間と時間のかかる手続きも伴います。

また、家族の中で「お金をどう使うか」「売却して得た資金をどう管理するか」などをめぐって、意見が分かれることも少なくありません。制度を利用するにあたっては、そうした点についても事前に話し合い、役割や責任の分担を整理しておくことが大切です。


「とりあえず後見人になれば何とかなる」と考えるのではなく、長期的な視点で制度と向き合い、

本人にも家族にも負担が少なく、続けやすい形を考えることが求められます。



成年後見制度を使った実際のケース


たとえば、東京都在住のBさん(78歳)は、軽度の認知症と診断され、介護付き有料老人ホームに入居することになりました。

しかし、自宅はご本人名義であり、売却して入居費用に充てたいと思っても、本人が契約手続きを行うことが難しい状況でした。


家族は家庭裁判所に申し立てを行い、Bさんの長女が後見人として選任されました。

その後、裁判所の許可を得て無事に不動産を売却し、入居費用に充てることができました。


長女はその後もBさんの通帳管理や施設との契約更新などを行い、母親が安心して暮らせるよう日々支えています。



専門家への相談のすすめ


成年後見制度を検討している方は、まずは市区町村の高齢者支援窓口や、地域包括支援センターなどに相談してみましょう。

また、司法書士や弁護士といった法律の専門家に相談することで、手続きの流れや費用の目安などが具体的にイメージできます

不動産を売却する際には、不動産会社とも連携が必要になるため、制度と売却の両面からサポートしてくれる専門家の存在はとても頼りになります。



最後に


不動産の売却は、金額も大きく、家族の将来にも影響する重要な選択です。

判断が難しくなったご本人の意思を尊重しつつ、まわりの家族ができるサポートを考えることが、安心できる暮らしに繋がります。


成年後見制度は、そのための一つの手段として、多くのご家庭で活用されています。

「何かあったとき」ではなく、「何もないうちに」行動することが大切です。


まずは制度について知ることから、一歩を踏み出してみませんか?




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