相続不動産の名義変更後にかかる税金ガイド
相続不動産の名義変更後にかかる税金ガイド
相続登記が終わっても、税金の手続きはそれで完了ではありません。
名義変更のあとに発生する税金や、選択によって金額が変わるポイントを整理しました。

目次
- 相続登記のときにかかる税金
- 名義変更後に毎年かかる税金
- 相続では非課税でも贈与に切り替えると課税になるケース
- 賃貸にしたときの税金と注意点
- 売却するときにかかる税金と特例
- 土地や家を「そのまま持つ」ときの注意点
- 相続後に関係する主な税金まとめ表
- まとめ:損しないための行動ステップ
① 相続登記のときにかかる税金
相続登記をする際には、いくつかの費用や税金が発生します。
- 登録免許税: 不動産の評価額×0.4%
例)評価額1,500万円の家なら6万円ほど。土地と建物は別で計算されます。 - 司法書士報酬: 数万円前後(物件数や相続人の数で増減)。
- 不動産取得税: 相続では非課税です(贈与・売買は課税)。
登録免許税のほか、戸籍や登記事項証明書の取得費用がかかる点にも注意しましょう。
また、登記を放置すると過料の対象になる場合があります。
② 名義変更後に毎年かかる税金
名義が変わったあとは、所有者として固定資産税と都市計画税を支払うことになります。
- 固定資産税: 税率は1.4%(課税のもとになる金額=「課税標準」に対して計算)。
- 都市計画税: 上限0.3%。市区町村によっては課税されない地域もあります。
- 住宅用地の特例: 住宅が建っている土地は、税金が最大で1/6まで軽減されます。
ただし、家を取り壊して更地にすると、この特例が外れて税金が一気に上がります。
また「特定空家等」に指定されると、軽減措置が外れるケースもあるため注意が必要です。
③ 相続では非課税でも、贈与に切り替えると課税になるケース
相続登記のあとに、兄弟などで話し合いの結果「やはり贈与で名義を変えよう」という判断に至るケースもあります。
しかし、その場合は相続とは異なり、複数の税金が課されるため注意が必要です。
たとえば、贈与税には年間110万円の基礎控除がありますが、それを超えた分には高い税率がかかります。
また、不動産取得税も贈与は課税対象となり、住宅や土地によっては軽減措置が適用されることがあります。
さらに、登録免許税は相続の場合0.4%ですが、贈与に切り替えると2.0%に上がります。
このように、贈与に切り替えると想定以上の税負担が発生することがあります。相続人同士で調整する場合は、代償分割(一人が家を相続し、他の相続人に現金を支払う)や、持分売買などの方法を検討することで、結果的に税金を抑えられるケースもあります。
④ 賃貸にしたときの税金と注意点
親から引き継いだ家を貸す場合、所得税や消費税の扱いにも注意が必要です。
たとえば、住宅として貸す家賃には消費税はかかりません(非課税取引)が、駐車場だけを貸す場合は課税対象となります。
家賃収入からは、固定資産税・火災保険料・修繕費などの経費を差し引いた残りに所得税が課される仕組みです。
なお、青色申告を選択すれば最大65万円の控除が利用でき、節税効果が期待できます。
※青色申告とは、一定の条件を満たした賃貸経営者が利用できる節税制度で、帳簿の作成を行うことで最大65万円の所得控除が受けられます。
さらに注意したいのが、固定資産税の扱いです。
家を貸しても人が住まなくなると、「住宅用地の特例」が外れて税額が上がることがあります。建物を残すか、更地にして活用するかによって税負担が大きく変わるため、貸し出す前にシミュレーションしておくことが大切です。
⑤ 売却するときにかかる税金と特例
相続した家を売る場合、利益が出ると譲渡所得税がかかります。
ただし、条件を満たせば税金を大きく減らせる特例もあります。
- 居住用3,000万円特別控除: 自分が住んでいた家を売る場合、利益から3,000万円まで控除可能。
- 空き家特例: 被相続人(親など)が住んでいた家を相続後に売却するときに使える特例。耐震改修や解体済みでも対象になる場合あり。
- 相続税の取得費加算: 相続税を支払っていれば、その一部を売却時の費用に加算できます(相続から3年10か月以内の売却が条件)。
5年以上所有していれば「長期譲渡所得」として税率が下がります。この期間は、親が持っていた期間も通算できる点を覚えておきましょう。
⑥ 土地や家を「そのまま持つ」ときの注意点
空き家をそのまま残す場合も、税金の面で注意が必要です。
- たとえば、建物を解体して更地にすると固定資産税が最大で6倍近くになる一方、古家付きのままなら「住宅用地の特例」で税額を抑えられることも。
駐車場として貸せば一定の収入は得られますが、今度は消費税や固定資産税の軽減措置が外れる可能性があります。
このように、どの選択にもメリットとデメリットがあるため、「使わないから壊す」「とりあえず貸す」といった短期的な判断ではなく、解体・売却・活用の中で最も損をしない方法を、長期的な視点で検討することが大切です。
⑦ 相続後に関係する主な税金まとめ表
| ケース | 登録免許税 | 不動産取得税 | 固定資産税・都市計画税 | 所得税 | 消費税 |
|---|---|---|---|---|---|
| 相続による名義変更 | 評価額×0.4% | 非課税 | 毎年課税 | なし | なし |
| 贈与による名義変更 | 評価額×2.0% | 課税(軽減あり) | 毎年課税 | 贈与税あり | なし |
| 賃貸運用 | なし | なし | 継続課税 | 不動産所得として課税 | 住宅は非課税、駐車場は課税 |
| 売却 | 買主側が負担 | 買主側が課税 | 精算対応 | 譲渡所得税(特例あり) | 仲介手数料などに課税 |
⑧ まとめ:損をしないために
相続した不動産をどう扱うかによって、税金の負担や将来の選択肢は大きく変わります。
登記を終えたあとも気を抜かず、次のポイントを意識して整理しておきましょう。
- ・相続登記を済ませたら、固定資産税評価額を確認する。
- ・「持つ」「貸す」「売る」方針を決め、それぞれの税負担を比較する。
- ・贈与や持分整理は、税率が高くなりやすいので慎重に。
- ・不動産会社や税理士に早めに相談し、最適な方法を選ぶ。
登記を終えたあとも、不動産にはさまざまな税金が関係します。思わぬ出費を防ぐためにも、税金の仕組みを理解しながら、無理のない資産管理を進めることが大切です。
もし判断に迷ったり、具体的な試算を知りたい場合は、専門家への相談を早めに検討しましょう。
不動産相続のご相談なら ディスカバリサーチがトータルサポート:
▶ お問い合わせはこちら
その相続、本当に大丈夫?“争族”にならないための「意思能力®鑑定」:
▶ 詳細はこちら
