相続したくない不動産、放棄すべき?残すべき?後悔しないための判断基準を解説

相続

牧原 聡美

筆者 牧原 聡美

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相続したくない不動産、放棄すべき?残すべき?後悔しないための判断基準を解説

相続の話が出たとき、「この家や土地、自分が引き継ぐべきなのか」と悩む方は少なくありません。誰も住んでいない実家や、遠方にある使い道のない土地であれば、なおさら迷いやすいところです。

持っていても使わないうえに、固定資産税や管理の手間がかかるとなると、「できれば相続したくない」と感じるのも無理はありません。

ただ、不動産の相続は一度決めるとやり直しがききません。しかも、相続放棄には期限があります。この記事では、相続を放棄したほうがいいケース引き継いでも問題ないケースを、実際に判断するときのポイントに絞って整理します。


判断の前に知っておきたいこと

不動産だけを放棄することはできない

まず押さえておきたいのは、「この家だけいらない」といった形で不動産だけを切り離して放棄することはできないという点です。

相続放棄をすると、次のような財産や負債をまとめて受け取らない扱いになります。

  • ・預貯金
  • ・不動産
  • ・借金
注意したいポイント

相続放棄を考えている段階で、預貯金を解約・引き出したり、不動産を処分したりすると、相続を承認したとみなされる可能性があります。判断が固まる前に、自己判断で財産に手を付けるのは避けたほうが安心です。

判断できるのは3か月以内

相続放棄や限定承認をする場合、「相続があったことを知ってから3か月以内」に手続きをする必要があります。

限定承認とは?

限定承認とは、相続した財産の範囲内でのみ借金を引き継ぐ方法のことです。相続人全員で手続きする必要があり、実際には使われるケースはあまり多くありません。

3か月は長いようで短く、財産の内容を調べているうちに過ぎてしまうケースもあります。迷っている場合でも、早めに情報を集めておくことが大切です。

ケース別 具体的な判断ポイント

ケース① 借金がある、またはよく分からない

このケースでは、安易に相続しないことが重要です。

まず確認したいのは、「どれくらいの借金があるか」です。たとえば、次のような事情がある場合は注意が必要です。

  • ・住宅ローンが残っている
  • ・事業の借入がある
  • ・誰かの保証人になっている

こうした場合は、不動産の価値よりも負担のほうが大きくなる可能性があります。特に、借金の全体像がはっきりしないときは要注意です。「家があるから大丈夫だろう」と思って相続した結果、あとから負債が見つかるケースもあります。

迷うときは、すぐに相続するのではなく、相続放棄や限定承認も含めて慎重に検討してみましょう。

ケース② 空き家や使っていない土地

この場合は、持ち続けた場合の負担を具体的に見ていくのがポイントです。

チェックしたい項目

  • 固定資産税はいくらかかっているか
  • 草刈りや建物の修繕が必要か
  • 管理のために現地へ通える距離か
  • 近くで売りに出ている物件が実際に売れているか

年間の固定資産税が数万円で、管理の手間もそれほどかからない土地であれば、すぐに手放す必要はないかもしれません。

一方で、老朽化した空き家で修繕にまとまった費用がかかる場合は、そのまま持ち続けるよりも、売却を前提に考えたほうが現実的です。

ケース③ 家族が住む予定がある

親族の誰かがそのまま住む予定がある場合は、誰が名義を持つかをはっきりさせておくことが大切です。

よくあるのが、「とりあえず兄弟で共有にしておこう」という流れですが、この状態のままでは後のトラブルにつながりやすくなります。たとえば、

  • ・売りたい人と残したい人で意見が分かれる
  • ・修繕費を誰が負担するかで揉める

といったケースです。

実際には、住む人が単独で相続し、他の人には現金を支払う形で調整したほうが、その後のトラブルは起こりにくくなります。

ケース④ どう判断していいか分からない

判断に迷う場合は、まずその不動産がいくらで売れそうかを知ることから始めると整理しやすくなります。

売却できる見込みや価格の目安が分かると、持ち続けるべきか、売却すべきかの判断がしやすくなります。

不動産会社に査定を依頼すれば、現実的な価格帯を知ることができます。1社だけでなく、複数の不動産会社に相談してみることで相場も見えやすくなります。

迷ったときの考え方

「使う予定があるか」だけで判断せず、持ち続けたときのコスト売却できる可能性の両方を見ると、方向性が決めやすくなります。

相続する場合は「どう分けるか」まで考える

ここまで「相続するかどうか」という判断を見てきましたが、実際に相続する場合は、不動産の分け方によってその後の負担が大きく変わります。

主な分け方は次の4つです。

① 現物分割

不動産をそのまま1人が相続する方法です。たとえば「実家は長男がそのまま引き継ぐ」といったケースがこれにあたります。

手続きとしてはシンプルですが、他の相続人が何も受け取らない形になると、不公平だと感じられやすい点には注意が必要です。

② 代償分割

1人が不動産を相続し、その代わりに他の相続人へ現金を支払う方法です。たとえば、家に住み続ける人が他の兄弟に対して一定額を支払う形です。

住む人を決めつつ公平性も保ちやすいため、実際の相続ではよく選ばれます。ただし、まとまった現金を用意できるかどうかがハードルになります。

③ 換価分割

不動産を売却し、その売却代金を分ける方法です。たとえば、相続した家を売却して、そのお金を兄弟で分ける形です。

現金で分けられるため話し合いがまとまりやすく、特に誰も住む予定がない場合には、実際によく選ばれる現実的な方法です。

④ 共有分割

不動産を複数人の名義で共有する方法です。たとえば、兄弟3人で実家を共有名義にするケースです。

一見公平に思えますが、売却や修繕のたびに全員の同意が必要になります。そのため、時間が経つほど意見がまとまらなくなり、売ることも活用することもできない状態になることがあります。

共有名義は慎重に考えたい方法です

その場では平等に見えても、数年後に売却や管理の話が出たとき、かえって話がまとまりにくくなることがあります。今の公平さだけでなく、将来の動かしやすさまで考えておくことが大切です。

「とりあえず相続」はおすすめしない理由

判断に迷ったときに、「いったん相続してから考えよう」と思うこともあるかもしれません。

しかし、この方法はあまりおすすめできません。相続した時点で、次のような負担が発生します。

  • ・固定資産税の支払いが始まる
  • ・建物の管理責任が生じる
  • ・相続登記の手続きが必要になる

さらに、一度相続すると、あとから相続放棄をすることはできません。そのまま放置してしまうと、空き家の老朽化や近隣トラブルにつながることもあります。

「ひとまず相続してから考えよう」と動いた結果、あとから負担だけが残ってしまうこともあるため、最初の判断が重要です。

まとめ

不動産を相続するかどうかは、「なんとなく」で決めると後悔しやすいポイントです。

判断するときは、次の点を一つずつ確認していくことが大切です。

  • ・借金があるか、ある場合はいくらあるか
  • ・毎年どれくらいの費用がかかるか
  • ・売却できそうな物件か
  • ・実際に使う予定があるか
判断の整理
  • ・相続放棄をする
  • ・条件を見ながら引き継ぐ
  • ・売却を前提に相続する

こうした選択肢の中から、自分に合った方法を選ぶことが重要です。

「まだ大丈夫」と思っているうちに期限が過ぎてしまうケースもあるため、早めに動き出すことが結果的に負担を減らすことにつながります。

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