空き家を“負動産”から資産へ 相続後の新しい選択肢
空き家を“負動産”から資産へ 相続後の新しい選択肢
相続した空き家を“負動産”で終わらせないために。活用・売却・管理という3つの視点から、価値を取り戻す方法を紹介します。

はじめに
相続した不動産が、思っていたほど「資産」にならない。そんな悩みを抱える人が増えています。特に、誰も住まなくなった実家や管理の難しい土地は、税金や維持費ばかりかかってしまい、利益を生まない“負動産(マイナスの資産)”になりがちです。
総務省の調査によると、全国の空き家は約900万戸にのぼり、その多くが相続をきっかけに発生しています。しかし、空き家は活用の仕方次第で価値を生み出すことも可能です。この記事では、「相続した空き家をどう活かすか」という視点から、現実的な選択肢をご紹介します。
負動産になってしまう理由
相続不動産が“負動産”と化してしまう背景には、いくつかの共通点があります。
- 維持費がかかる:固定資産税、火災保険、草刈りや修繕などの費用の発生。
- 老朽化が進む:放置している間に傷みが進行し、売却・賃貸価値の低下やリフォーム費用の増大。
- 需要がない立地:地方や郊外では、借り手や買い手が見つかりにくく、市場価値の低下。
こうした要因が重なると、「売れない・貸せない・使えない」状態に陥ります。しかし、活用・売却・管理の方向性を早めに決めることで、資産として再び活かすことができます。まずは現地の状況を確認し、修繕の必要性や市場価格を把握することが第一歩です。
活用の選択肢①:リフォームして賃貸運用
住まなくなった家を賃貸物件として活用する方法です。築年数が古くても、軽微なリフォームやハウスクリーニングで貸し出せるケースは少なくありません。
ポイント
- ・定期借家契約や短期賃貸(マンスリー・民泊)の活用による柔軟な運用。
- ・家具付き賃貸として、転勤者やリモートワーカー向け需要の獲得。
- ・古民家をリノベーションし、カフェや宿泊施設へ転用する事例の増加。
ただし、家賃相場や改修費を考慮すると、すぐに黒字化しない場合もあります。初期投資を抑えたい場合は「簡易リフォーム+短期賃貸」など、段階的な運用を検討すると良いでしょう。また、地方自治体によっては「空き家活用補助金」「リフォーム支援制度」などの助成を受けられる場合もあります。地域と連携した活用で、収益と社会的意義を両立させることが可能です。
活用の選択肢②:売却+活用(リースバック・土地活用など)
「維持は難しいけれど、完全に手放したくはない」という場合には、リースバックという選択肢もあります。これは一度売却したあと、買主と賃貸契約を結んでそのまま住み続ける仕組みです。まとまった資金を得つつ、生活環境を変えずに済むのが大きな利点です。
ポイント
- ・リースバックでは賃料設定や買戻し条件が契約ごとに異なるため、複数社の比較が重要。
- ・土地を解体して駐車場、コインランドリー、トランクルーム、太陽光発電などへの転用。
- ・「売るか」「貸すか」で迷う場合は、複数の不動産会社に査定を依頼し、市場価値と修繕コストのバランスを確認すると安心。
活用の選択肢③:管理代行・サブリースを利用
遠方に住んでいたり、仕事が忙しくて管理が難しい場合には、空き家管理サービスの利用も有効です。専門業者が定期的に巡回・清掃・通風・郵便物の確認などを行い、老朽化や近隣トラブルを防ぎます。
また、賃貸運用を考えている場合は、サブリース(管理会社による一括借上げ)の利用も選択肢のひとつです。空室リスクを抑えつつ、毎月一定の収入を得ることができます。契約条件や賃料設定の仕組みをよく確認した上で、信頼できる管理会社を選ぶことが大切です。
注意点:放置だけはNG
「今は使わないから」「そのうち考えよう」と放置してしまうと、
- ・固定資産税の負担増加
- ・老朽化による倒壊や近隣からの苦情
- ・2024年施行の相続登記義務化による過料リスク
特に、相続登記をしないまま放置すると、売却・賃貸・管理委託のすべてが行えなくなるため注意が必要です。現状維持のまま放置してしまうのが、最もリスクの高い選択肢です。
まとめ
相続した空き家を「負動産」として手放すのは簡単ですが、少し視点を変えれば、新しい価値を生み出す資産に変えることもできます。
- 活用:リフォームや賃貸で収益化
- 売却:リースバックや土地活用による柔軟な資金化
- 管理:代行サービスによる維持コストの最小化
特に近年は、相続登記義務化をきっかけに「空き家の整理」を検討する人が増えています。どの方法を選ぶにしても、早めに行動することが損失を防ぐ第一歩です。
ディスカバリサーチでは、相続後の不動産について「放棄・売却・活用」まで幅広くサポートしています。空き家の扱いに迷ったときは、ぜひお気軽にご相談ください。
